朝日新聞社、吉田調書「命令違反」報道の記事を取り消し・謝罪
木村伊量ただかず社長は11日記者会見を開き、東京電力福島第一原発事故の政府事故調査・検証委員会が作成した吉田昌郎まさお所長(昨年7月死去)に対する「聴取結果書」(吉田調書)について、5/20付朝刊で報じた記事を取り消し、読者と東電の関係者に謝罪した。
杉浦信之取締役の編集担当の職を解き、木村伊量社長は改革と再生に向けた道筋をつけた上で進退を決める。
朝日新聞は、「信頼回復と再生のための委員会」(仮称)を立ち上げ、取材・報道上の問題点を点検、検証し、将来の紙面作りにいかす。
本社は政府が非公開としていた吉田調書を入手し、5月20日付紙面で、「東日本大震災4日後の2011年3月15日朝、福島第一原発にいた東電社員らの9割にあたる約650人が吉田昌郎所長の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発に撤退した」と報じた。
しかし、吉田所長の発言を聞いていなかった所員らがいるなか、「命令に違反 撤退」という記述と見出しは、多くの所員らが所長の命令を知りながら第一原発から逃げ出したような印象を与える間違った表現のため、記事を削除した。
調書を読み解く過程での評価を誤り、十分なチェックが働かなかったことなどが原因と判断した。問題点や記事の影響などについて、朝日新聞社の第三者機関「報道と人権委員会」に審理を申し立てた。
朝日新聞社が、韓国・済州島で従軍慰安婦を強制連行したとする吉田清治氏(故人)の証言を虚偽と判断し、関連記事を取り消したこと、その訂正が遅きに失したことについて、木村社長は、「おわびすべきだった」と謝罪した。
元名古屋高裁長官の中込秀樹氏を委員長とする第三者委員会を立ち上げ、過去の報道の経緯、国際社会に与えた影響、特集紙面の妥当性などの検証を求める。
木村伊量社長は、従軍慰安婦特集について論評した池上彰氏の連載コラムの掲載を見合わせた判断については、「言論の自由の封殺であるという思いもよらぬ批判があった」、「責任を痛感している」と述べた。
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