川端康成、初恋の伊藤初代への書簡発見「伊豆の踊子」にも影響
「僕が十月の二十七日に出した手紙見てくれましたか。君から返事がないので毎日毎日心配で心配で、ぢっとして居られない。手紙が君の手に渡らなかったのか、お寺に知れて叱られてゐるのか、返事するに困ることあるのか、もしかしたら病気ぢゃないか、
本当に病気ぢゃないのかと思ふと夜も眠れない」
ノーベル賞作家の川端康成(1899~1972年)が、初恋の女性とされる伊藤初代に宛てた未投函の書簡1通が神奈川県鎌倉市の川端邸で見つかり、その内容が8日明らかになった。
孤独の中で永遠の少女を追い求め、美的世界を探究した川端文学の原点をうかがわせる。
初代は「篝かがり火」・「非常」などの初期作品や代表作「伊豆の踊子」の世界観に影響を与えたとされ、川端文学の成立過程を解明する上で重要な資料となりそうだ。
書簡は1921年秋に書かれ、当時川端22歳、初代15歳。
「僕が十月の二十七日に出した手紙見てくれましたか。君から返事がないので毎日毎日心配で心配で、ぢつとして居られない」との書き出しで、
「もしかしたら病気ぢやないか、本当に病気ぢやないのかと思ふと夜も眠れない」など、初代への切々とした思いがつづられている。
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