狂言師の茂山千作さん、肺癌のため死去 人間国宝
文化勲章受章者で狂言界の第一人者、人間国宝の四世茂山千作(本名:七五三 しめ)さんが23日午前0時15分、肺がんのため京都市内の自宅で死去した。享年93。江戸時代から続く京都の大蔵流狂言師・茂山千五郎家に生まれる。5歳で初舞台。子供のころから
弟の千之丞さん(2010年死去)と狂言を演じ、名コンビと謳われた。
21歳の時、狂言師の卒業論文といわれる釣狐つりぎつねを初演。戦時中は海軍に配属。重巡洋艦に乗り組み真珠湾攻撃にも参加した。
戦後は狂言の場がなく苦労しながら知人の紹介で学校を巡演。これが後に狂言普及の基礎を作った。
当時珍しかった現代演劇と伝統芸能のコラボレーションに千之丞さんと出演。歌舞伎に出演した時は能楽協会から脱退しそうになった。
狂言600年の歴史上、これほど多彩な活動をした兄弟はいないと言われ、新時代を開いた。
その芸は格調高い一方で、天衣無縫。愛嬌も豪放さもあり大名、太郎冠者、山伏、僧侶などどんな役でもこなした。代表作は数多く「枕物狂まくらものぐるい」「木六駄きろくだ」「素袍落すおうおとし」「萩大名はぎだいみょう」など。
1966年に十二世千五郎(当主名)、94年に四世千作を襲名。
狂言界では初めて2007年に文化勲章を受章した。日本芸術院会員。
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