野田佳彦氏、観艦式で訓示 安保環境はかつてなく厳しい
自衛隊観艦式が14日、神奈川県の相模湾沖で開催された。護衛艦「くらま」に乗艦した野田佳彦首相らが、艦艇の洋上パレードや潜水艦の潜航浮上などを観閲した。首相は訓示で、領土に関する中韓両国などとの対立を念頭に、「領土や主権をめぐる様々な問題が
生起している」と指摘。「わが国をめぐる安全保障環境はかつてなく厳しさを増していることは言うまでもない」と述べ、「諸君が一層奮励努力することを切に望む」と締めくくった。一層奮励努力は、日本海海戦で掲げられたことで知られる「Z旗」で使われた表現。
訓示では旧海軍兵学校の「五省」も読み上げた。
日常の訓練や警戒監視に万全の対応を促した発言は、中国が沖縄県・尖閣諸島の領有権の主張を強め、監視船を領海に頻繁に侵入させていることに強い危機感を示したものだ。
尖閣問題では7月に国会で自衛隊を出動させる可能性にも言及している。
ただ、訓示では具体的な国名や尖閣、竹島などの地名には触れなかった。「人工衛星と称するミサイルを発射し、核開発を行う隣国がある」と、北朝鮮問題にも懸念を表明。
「国防に想定外という言葉はない。困難に直面したときこそ、日頃養った力を信じ、冷静沈着に国のために何をすべきかを考え、状況に果敢に立ち向かってほしい」と指示した。
観閲式は陸海空各自衛隊が持ち回りで開催し、海自の観艦式は3年ぶり。自衛隊の艦艇45隻、航空機18機、隊員約8000人が参加。
海上保安庁の巡視船1隻も参加する予定だったが、尖閣諸島の国有化に反発を強める中国への対応などを優先するため取りやめた。
また、02年以来10年ぶりに外国艦艇が招かれ、米国のイージス艦やオーストラリア、シンガポールの艦艇が祝賀航行を行った。
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