南海トラフ巨大地震、死者最悪32.3万人 国が被害想定
東海、東南海、南海地震などが同時発生するマグニチュード/M9級の南海トラフ巨大地震について、国の二つの有識者会議が29日、被害や津波の想定を公表した。死者数は最大で32万3000人で、関東大震災の約3倍、東日本大震災の約20倍に上り、
日本の災害史上、記録のない規模に達する。
都府県別の死者数は、静岡10万9000、和歌山8万、高知4万9000。想定に基づいて、国や各地域は津波避難の強化や高台移転の検討など本格的な震災対策を進める。
人的被害は、震源の位置や発生時期、気象、住民行動などの条件を組み合わせて96通りの計算をした。
津波の死者が23万人と全体の7割を占める。総死者は03年に国の中央防災会議がまとめた東海、東南海、南海の3連動地震(M8.7)による死者(2万5000人)の13倍だ。
建物被害は最大で238万6000棟が全壊・焼失する。
都府県ごとの死者の最大数は静岡が最多で、和歌山、高知と大津波が襲う地域が続く。徳島(3万1000)、愛媛(1万2000)も1万人を超えた。大阪は建物倒壊の被害も大きく、総死者は7700人。兵庫は5800人とした。
防災対策が被害を減らす効果も試算した。地震直後に7割の人が避難を始め、津波避難ビルに逃げ込めれば、津波の死者は最大で8割減らせるという。住宅の耐震化率が08年現在の8割から9割に向上すれば、建物倒壊の死者数は約4割減少する。
最大の津波は高知県の土佐清水市と黒潮町の34m。これは死者が最大の32万人になる場合とは別の想定で、高知沖を震源とした時の数値だ。和歌山県太地町と串本町では、早ければ1mの津波が2分、10mが4~5分で到達する。
浸水する範囲は最大で1015km2と東日本大震災(561km2)の1.8倍に及んだ。
南海トラフ巨大地震
西日本周辺の太平洋に延びる浅い海溝(トラフ)沿いに発生し、科学的に考えられる最大級の地震。過去に実際に発生した記録はない。
国は地震断層の大きさを、東海、東南海、南海3連動地震の2倍と想定している。
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