北杜夫さん、死去 どくとるマンボウ航海記 楡家の人びと…
「楡家の人びと」やユーモアあふれるエッセー「どくとるマンボウ」シリーズなどで知られる作家で元精神科医の北杜夫(本名斎藤宗吉)さんが266日までに死去した。享年84。アララギ派の歌人で精神科病院を経営する斎藤茂吉の次男として東京に生まれた。
旧制松本高校時代にトーマス・マンの作品や父茂吉の歌集を読んで文学に心酔。東北大医学部在学中から小説を書き始め、卒業後は慶応病院に勤務の傍ら、同人誌「文芸首都」に参加。
1958年から59年にかけて水産庁調査船の船医としてアジアから欧州を航海。その体験を記した60年のエッセー「どくとるマンボウ航海記」がベストセラーに。
同年、ナチスドイツに抵抗して患者を救おうと苦悩する精神科医を描いた「夜と霧の隅で」で芥川賞受賞。斎藤家をモデルに精神科病院一族の歴史を描いた64年の「楡家の人びと」で毎日出版文化賞を受賞。
純文学作品の一方で、「怪盗ジバコ」「さびしい王様」などのユーモア小説や「船乗りクプクプの冒険」などの児童文学作品も発表し、若い世代を中心に人気を集めた。
自身の躁鬱病(双極性障害)の病状をエッセーで面白おかしく綴ったほか、熱烈な阪神タイガースファンとしても知られた。
兄は精神科医の故斎藤茂太さん。長女はエッセイストの斎藤由香さん。
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