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原発事故報告書の要旨 福島原子力事故

はじめに

福島の原子力事故は、日本にとって大きな試練。世界の原発の安全性に懸念をもたらしたことを重く受け止め、反省している。世界の人々に放射性物質放出について不安を与えたことを心からおわびする。
事故の教訓を世界に伝えることも日本の責任である。

地震と津波の被害

3月11日の地震は観測史上最大のマグニチュード(M)9。福島第1原発で外部電源がすべて停止、津波は14~15㍍。

Photo_3事故の発生と進展

運転中の同原発1~3号機は地震で自動停止。津波で冷却系が機能を失った。1~3号機で原子炉圧力容器への注水ができない事態が続き、核燃料は水面から露出。

炉心溶融に至り、一部は圧力容器下部にたまり、一部は圧力容器に開いた穴から外側の格納容器に落下して堆積する「メルトスルー(溶融貫通)」が起きている可能性も。燃料被覆管が過熱し大量の水素が発生。燃料から圧力容器、原子炉格納容器へ放射性物質を放出。

格納容器圧力が上昇して破損するのを防ぐため蒸気を大気中に逃がすベントを実施。1、3号機で水素爆発が発生して原子炉建屋を破壊。大量の放射性物質を放出した。4号機でも水素が原因とみられる爆発。
2号機圧力抑制プール付近でも爆発音。水素爆発の可能性。

災害への対応

放射性物質の放出に備え原子力災害対策本部長の首相が避難と屋内退避を指示。緊急時対策支援システムと緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)は機能せず。放射線監視装置はほとんど使用不能。

汚染水の海洋放出について近隣諸国を含め通報が十分でなかったことを反省。国際評価尺度(INES)暫定評価レベル5から7への引き上げに1カ月が経過。迅速、的確な対応が必要だった。

事故の教訓

自然災害を契機にしていること、複数の原子炉の事故が同時に起きたことなどスリーマイルアイランド原発事故、チェルノブイリ原発事故と異なる点が多い。電気、通信、交通が壊滅した状況で原発作業や防災活動を行わざるを得なかった。

過酷事故防止策

地震で外部電源に被害。現在まで、安全上重要な設備や機器に地震による大きな損壊は確認されていないが、さらに調査が必要。津波に対し、発生頻度や高さの想定が不十分だった。

地震や津波に備えた電源の多様性がなく、配電盤などが冠水に耐えられず、電池の寿命も短かった。使用済み燃料プールのリスクは炉心に比べて小さいとして、代替注水などを考慮しなかった。

複数炉で同時に事故が発生し、設備を共用したり距離が近かったりしたため、事故が隣の原子炉に影響を及ぼした。燃料プールが高い位置にあり対応が困難だった。原子炉建屋の汚染水がタービン建屋に及んだ。

過酷事故対応策

連続した水素爆発が事故をより重大にした。水素が漏れて爆発する事態を想定していなかった。

格納容器のベントシステムの操作性に問題があった。放射性物質の除去機能が不十分。中央制御室や緊急事態対策所の放射線遮蔽、空調や通信、照明の強化などが必要。

個人線量計が津波で水没し、適切な放射線管理が困難になった。空気中の放射性物質の濃度測定も遅れ、内部被ばくのリスクが増大した。

実効的な訓練が不十分。自衛隊、警察、消防との連携に時間を要したが、的確な訓練によって防止できた可能性がある。

周辺でも地震、津波の被害が発生し、機材やレスキュー部隊の動員を迅速かつ十分に行えなかった。機材の集中管理や同部隊の整備を進める。

原子力災害対応

大規模な自然災害と原子力事故が同時に発生した場合に備え、通信連絡や物資調達の体制・環境を整備する。

現在、緊急時の環境モニタリングは自治体の役割だが、国が責任を持つ体制を構築する。

事故当初、政府と東電の意思疎通が不十分。原子力災害対策本部などの責任や、役割分担の見直しと明確化を進める。

住民や自治体に適切なタイミングで情報提供できないことがあった。放射線や放射性物質の分かりやすい説明も不十分。

安全確保の基盤強化

安全規制行政は、事故に俊敏に対応する上で問題があった。原子力安全・保安院を経済産業省から独立させ、原子力安全委員会や各省も含めて体制の見直しを検討する。

原子力安全や防災にかかる法体系や指針を見直す。高経年化対策の在り方を再評価。既存施設に対する新法令や新知見の位置付けを明確にする。

むすび

原子力安全対策の根本的な見直しが不可避。原子力発電の安全確保を含めた現実のコストを明らかにし、原子力発電の在り方について国民的な議論が必要。事故収束に向け多大な困難を覚悟しているが、世界の英知と努力を結集して、必ずこの事故を乗り越えることができると確信している。


                                



                               


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