放射能漏れ、各地に拡大 福島第1原発事故
東日本大震災に伴う東京電力の福島第1原発事故を受けて、関東各地で15日、通常より高い放射線量が観測された。茨城県内では最大で通常の100倍程度の毎時5マイクロシーベルトを観測。
神奈川県でも通常の10倍近い値が出た。東京都も大気中からヨウ素やセシウムなどの放射性物質を検出。さいたま市や宇都宮市、千葉県市原市でも高い値が検出された。
いずれも人の健康に影響するレベルではないが、文部科学省は都道府県に委託している環境放射能水準調査の測定頻度を、可能な限り引き上げるよう要請した。
福島第1原発では、原子炉格納容器の圧力を下げるため放射性物質を含む蒸気を放出。3号機付近では15日午前、毎時400ミリシーベルトの放射線量を検出。
14日に最高値だった3130マイクロシーベルト(約3ミリシーベルト)に比べると桁違いに高い数値が観測された。関東各地の高い値は、北からの風に乗って放射性物質が拡散している影響とみられる。
東海村にある東京大の研究施設の敷地内と、日本原子力研究開発機構の敷地内では15日朝、通常の約100倍の毎時5マイクロシーベルトを観測。
両機関は通報の基準を超えたとして国に通報した。東大によると、15日午前7時46分から約20分間、毎時5マイクロシーベルトが続いた後、毎時3マイクロシーベルトより低い値で推移した。
東大の上坂充教授は、「午前1時ごろから数値が上がり始めた。放射性物質が風に乗ってきていると思うが人体には影響がないレベルだ」。
茨城県のモニタリングでは、常陸太田市内で通常の約100倍の放射線量を観測。数値は風によって変動した。那珂市、ひたちなか市、日立市などでも通常の数十倍程度の値を観測した。
原発の事故などで放射性物質が放出されると、これが風に乗って流れる放射性雲が発生する。放射性雲が通過する際に線量が高くなるが、遠く離れるほど薄く拡散するという。
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