永納山城跡から鍛冶炉遺構 鬼ノ城跡に続いて全国2例目
国の史跡に指定されている西条市河原津の永納山城跡えいのうさんじょうあとで鍛冶かじ炉の遺構が出土。約1300年前に築かれた古代山城で鍛冶炉跡が見つかったのは岡山県総社市の鬼ノ城跡に続いて全国2例目。
発掘調査を進めている西条市教委は、「古代山城の内部での活動や全体像を解明するうえで貴重な手がかりになる大きな成果」としている。
古代山城は663年の白村江の戦いで、唐と新羅の連合軍に敗れた大和朝廷が防備のために西日本各地に築いたとされる。永納山城も7世紀後半から8世紀前半に築かれたとみられている。
今鍛冶炉の遺構は直径約25cmの円形。地面を掘りくぼめて炉底とする簡単な構造で、周辺に低い土の堤を巡らせていたと考えられている。
炉に風を送る鞴ふいごの送風管の先端部分に取り付けた土製品の鞴の羽口はぐちも見つかったほか、針状の工具の一部も出土した。
確認できた鍛冶炉は1基だったが、鍛冶作業で出る鉄の不純物の固まりの鉄滓てっさいや炉の底にたまった椀形滓わんがたさいなども複数出土しており、城内に多数の炉があったとみられている。
村上恭通・愛媛大学東アジア古代鉄文化研究センター長は、
「柵などの防御施設が設けられていたと考えられるので釘のような工具を作ったり、武器の修復をしていたかもしれない。東予は鉄の生産の長い歴史がある。鍛冶炉の遺構は当時の山城の機能と関係しているのではないか」。
調査は11年2月中旬頃まで続けられる予定。西条市教委によると、11年度は城外から城内への城壁構造の把握を目的とした城壁の横断的調査を実施し、09年度から3カ年計画で実施している調査成果を報告書にまとめる。
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