三遊亭円生の名跡、落語会で争奪 鳳楽・円丈が対決
昭和の落語の名人、六代目三遊亭円生の名跡みょうせきをめぐり、前代未聞の争奪戦落語会が開かれることになった。円生は1979年に亡くなったが、その名前は遺族が、「再び世に出すことを望みません」との覚書を作り、関係者が署名して止め名にした経緯がある。但し、法的な拘束力はないとされる。
その後、演目の多さや幅の広さなどで知られた円生の名前を惜しむ声が強まった。一番弟子として円生の一門を引き継いだ故五代目円楽は、特にその思いが強く、「大きな名前を腐らせてはいけない」と08年、自らの一番弟子の鳳楽63を七代目円生に指名した。遺族の中からも賛成の声が上がった。
これに対して、落語協会を脱退している一門から離れ、協会に移っていた直弟子の円窓69や円丈65らが反発し、円丈が、「円生の名前の争奪杯があれば僕も立候補します」と名乗りを上げて落語会での対決を提案。鳳楽が応じて落語対決が決まった。
挑戦状を叩きつけた円丈は、「直弟子をとばして孫弟子の鳳楽が継ぐのは筋が通らない」と自らの正統性を主張。但し、勝敗も含めどう決着をつけるかは決めていない。
「落語会1回で決めるようなことじゃない。何度か開いて、流れの中で決まればいい。お客さんにもあくまでしゃれとして楽しんでほしい」と円丈。
鳳楽も「私もしゃれとして1回はお付合いして、その後はご遺族への挨拶回りなどを粛々と行うつもり」という。いわば真剣勝負の遊びで、襲名を盛り上げようという話。
遺族の覚書に署名した落語プロデューサーの京須偕充ともみつさんは、「円生の名前は歌舞伎で言えば尾上菊五郎に匹敵する大名跡。その襲名を一門の内輪の出来事にせず、お客を巻き込んだ落語界全体のマターにするという点では面白い」。
円丈は新作落語で人気。鳳楽は古典落語の正統派。対照的な芸風だが、争奪落語会ではそれぞれ円生が得意とした居残り佐平次と妾馬めかうま演じる予定だ。
落語会は浅草の東洋館で、3月17日午後6時半開演(asahi.com他)参照
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