宇治十帖の続編みつかる 巣守帖写本の一部か
源氏物語の全54帖のほかに、古い注釈書や古系図などに巻名が記載されている巣守帖の写本の一部とみられる文書が残されていたことが、池田和臣中央大文学部教授(中古文学)の調査で2日までに分かった。
紫式部の死後、別人が書いたとみられる。巣守帖すもりのじょうは光源氏の死後の物語宇治十帖の続編とされる。
鎌倉時代以降に源氏物語の登場人物を紹介した古系図に巣守の記載があり、見つかった文書の人物相関図と一致する。
見つかったのは、約15.5cm四方の文書2枚。池田教授が古書店で入手し、放射性炭素年代測定法や、紙質などを鑑定した結果、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて書かれた写本の一部とみられることが判明した。
巣守は光源氏の次男薫の若君を産んだ巣守の君が、光源氏の孫の匂宮からの求愛を避けるため、山中で仏道修行に励むという内容。文書2枚の中に巣守の君の記載はないが、古系図に記載がある中君、式部卿宮の名が一致しているという。
「巣守帖が書かれたのは平安時代末期と思われる。鎌倉時代まで写本が読まれていたが、その後散逸したのではないか」池田教授。
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