光源氏、軽薄な女だな 写本・大沢本に新記述見つかる
源氏物語の写本の一つで、昨年約80年ぶりに全54帖の存在が確認された大沢本に、標準的な写本青表紙本の本文と大きく異なる展開の内容が含まれていることが、伊井春樹大阪大名誉教授の研究で30日迄に分かった。
異なる部分は約2千字分。伊井さんは「これほど大幅に違う本文が見つかったのは初めて。展開そのものが異なっていて興味深い」と話している。
藤原定家が編纂した青表紙本の本文と大きく違う部分が見つかったのは、光源氏の死後の物語宇治十帖の中の蜻蛉巻。
薫と匂宮という2人の男性との三角関係に悩んでいたヒロインの浮舟が宇治で行方不明になってしまった後のくだりだ。
青表紙本では、匂宮に命じられた従者の時方が夕方都を出て、雨が上がったころ宇治に着く。やがて時方が帰った後に、浮舟の母君が葬儀を行うという展開。
だが大沢本では、先に雨の中で母君が宇治に着き、葬儀を計画。小降りになったころに時方が着く。
伊井さんは「大沢本の方がむしろ自然。この写本を誰が書いたのかも気になる」。
大沢本はこのほか、前半の花宴はなのえんの巻の巻末にも源氏の心境をつづった部分があるなど、標準本と違う部分が数多く見つかっている。
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