最古の大和絵・国宝「日想観」図が復元公開 平等院
平等院鳳凰堂中堂(京都府宇治市)の扉に描かれた国内最古の大和絵で国宝の日想観図(1053年制作)に、西を向いて拝む女性の姿が描かれていたことが分かり、平等院が17日、想定復元図を公開した。
日想観は、極楽浄土に向かうための瞑想法の一つ。扉絵は表面が剥落し、拝む人物の姿を肉眼では確認できなかった。約千年の時を超え、主人公が鮮やかによみがえった。
日本画家で金沢美術工芸大の荒木恵信准教授らによると、赤外線調査で、右扉に西向きに座って拝む人物の下半身部分を確認。十二単のようなすそが長い服装であることから女性と断定し、学術的考察を加えて全身像を想定復元した。
女性は瞑想についての記述がある経典観無量寿経に登場するインドの王妃、韋提希いだいけを模した可能性もあるという。さらに蛍光エックス線調査で、左扉には太陽が水平線に沈む光景が描かれていることも判明。
中国などの日想観図では人物が山に沈む夕日に向かって拝んでいるが、平等院の図では海の方を向いていた。海と空は、ほかの扉絵には使われていない紫根と呼ばれる染料を用いて赤紫色にしていた可能性が高いという。
日想観図は、藤原頼通が鳳凰堂を創建した当初に制作された。堂内の扉絵に囲まれ、頼通が瞑想していたと考えられている。
荒木准教授は17日、平等院で、「想定復元図によって、日想観図に込められた平安人の思いを理解しやすくなったと思う」と話した。
◆日想観図は12月18日迄、平等院ミュージアム鳳翔館で一般公開される
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