トリノ・古代エジプト展へ@東京都美術館 上野公園
東京都美術館で開催中のトリノ・エジプト展に出かけた。
上野駅の公園口を出て横断歩道を渡ると、蝉の、命を震わすような鳴き声が樹間から降ってきた。これたけの音量を、今年初めて聞いたような気がする。
ひんやりとした館内の壁に、内外の指揮者や歌手・演奏家たちのパンフレットが整然と貼られ、俗世間とは違う空気が流れている。
初めてちゃんとした演奏会場に身をおいたのは、ここの大ホール。曲目はイ・ムジチ合奏団の『四季』だった。
国立西洋美術館と向き合った方面の出入り口から外へ出た。
美術館の門扉近くに、「国立西洋美術館を世界文化遺産に!」旨を大書した幟がはためいている。幟は、公園のそこかしこにあった。
確か、一度フランス政府が音頭をとって、世界に散らばるル・コルビュジエの建築作品をまとめてユネスコに推薦したが、認められなかったはずだ。
右手奥に東京国立博物館の威容を目にしたころ、前方から大音響が耳をつんざいた。これから向かう都美術館の方向で、人だかりがしている。
近づくと、人の輪の中で茶髪の小柄な青年が音楽に乗ってマイケル・ジャクソンよろしくムーン・ウォークをしていた。
10分ほど大道芸を楽しんでから、トリノ・エジプト展へ向かった。
昨日(8/3)は一般公開はお休みで、招待客のみ。
それでも混雑を避けるため、1時間毎に数十人まとまって入室することになっていた。私は4時から組。
第1章 トリノ・エジプト博物館
博物館が作られた経緯やその意義が解説されている。また、古代エジプト人の生活ぶりを偲ばせる道具類が並ぶ。
「メンフィスとテーベへの道はトリノを通過している」ヒエログリフを解読したシャンポリオン。
第2章 彫像ギャラリー
暗い展示室に入ると、新王国第18王朝期の王や神の彫像群がライトに照らされて浮かび上がる。神秘的な菜雰囲気が漂う。
昼なお暗い神殿内部に安置された彫像は、光と影を強く意識して製作されたそうだ。
第3章 祈りの軌跡
古代エジプト人は信心深く、ナイル川流域に存在するありとあらゆる物に神を感じ、太陽や月のほか、超人的な能力を持つライオンやハヤブサ、ヘビなどを動物神として崇めていた。
国家神アメン・ラー神に対して忠誠を誓う彫像やステラ/石碑が製作され、王家に仕える高官によって、神殿などに奉納された。
第4章 死者の旅立ち
現世は仮の世界にしか過ぎなかった…
「人は誰でも死んでオシリス神となって、死後に再生・復活する」というオシリス信仰が広く流布。死後に再生するために、遺体を保存するミイラ作りが実施された。
第5章 再生への扉
死者が再生にむかう道筋が示されている。古代エジプトでは、再生と復活を信じて大小のピラミッドが造営され、遺体をミイラにして手厚く埋葬した。また死後、確実に再生するための護符が、ミイラとともに副葬された。
古代エジプト人にとって、来世は現世の延長であった。
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