金剛界八十一尊曼荼羅、鮮やかさ再現 滋賀・金剛輪寺
湖東三山の一つ、金剛輪寺/滋賀県愛荘町あいしょうちょうから流出し、現在は東京根津美術館に所蔵されている重要文化財金剛界八十一尊曼荼羅の複製が完成し、公開される。
鎌倉時代の制作当時に使われていた絹糸や顔料を忠実に再現し、約800年ぶりに往時の姿を色鮮やかによみがえらせた。縦216.7cm、横210cm。
原物は明治期の廃仏毀釈で寺から流出したとみられ、金剛輪寺では曼荼羅や顔料などの専門家で委員会をつくり、05年4月に復元に着手した。
材料の絹は、古品種の極細糸を吐くカイコを飼育している愛媛県西予市の養蚕農家に発注。顔料も鉱物を砕いて作っていたことを突き止め、大阪市旭区の仏画師中村佳睦けいぼくさんが赤は辰砂しんしゃ、青は藍銅鉱らんどうこう、緑は孔雀くじゃく石から忠実に当時の色を再現し、模写した。
原物が退色したり剥離はくりしたりしている部分については、同時代の曼荼羅を比較研究し、推定して制作。委員の一人で滋賀県立琵琶湖文化館の学芸員井上ひろ美さんは「妥協せず、最も難しい復元方法をあえて選択した」と話す。
約3千万円の復元費用は寺が信徒に寄進を募るなどしてまかなった。開眼法要は5月10日、天台座主を招いて行う。一般公開は5月10~31日。(asahi.com他)
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