森光子さん、放浪記2000回 国民栄誉賞授賞
「2千回という回数はお客様のお陰で成立しているのです。心から御礼を申し上げます」。女優森光子89が主演する舞台放浪記が9日、丸の内の帝国劇場で行われた昼公演で通算2千回を迎えた。
森の誕生日でもあり、親交の深い芸能人らもお祝いに駆けつけた。
放浪記は林芙美子の同名小説が原作で、菊田一夫が脚本化。
恋に破れ、どん底生活を送りながらもひたむきに文学に打ち込む林芙美子役を、森はこの日も軽やかに、また情感豊かに演じ、約3時間の舞台をつとめた。
客席に向かって正座し、無言のまま3方向に感謝の念波を送る独特のカーテンコールが終わると、大きな拍手が起きた。
タレントの近藤真彦、東山紀之らがステージ上に誕生ケーキとともに現れて、祝福した。
森は「ずっと待っていた2千回でしたが、来てしまうと、貴重な時間を割いて下さった皆様に申し訳ないような、いたたまれないような恥ずかしい気持ちです」と記録達成の感想を語った。
「表現のもっと豊かな女優になりたい」とさらなる精進も誓っていた。
初演は61年。41歳だった。90年に山本安英(故人)の夕鶴(1037回)を抜いて以来、単独主演での上演記録を更新中だ。
舞台では、喜びを表現する場面で森が披露するでんぐり返しも名物となったが、大事をとって08年に封印した。
体力作りとして、今も毎日スクワットなどを続けているという。
★国民栄誉賞は、「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があった人」が対象。
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