村上春樹さん、エルサレム賞授賞式でガザ攻撃を批判
イスラエル最高の文学賞エルサレム賞が15日、作家村上春樹に贈られた。
エルサレムで開かれた授賞式の記念講演で、村上春樹はイスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃に触れ、
人間を壊れやすい卵に例えたうえで「私は卵の側に立つ」と述べ、軍事力に訴えるやり方を批判した。
ガザ攻撃では1300人以上が死亡し、大半が一般市民で、子どもや女性も多かった。このため日本国内で市民団体などが、「イスラエルの政策を擁護することになる」として賞の返上を求めていた。
村上は授賞式への出席について迷ったと述べ、エルサレムに来たのは「メッセージを伝えるためだ」と説明。体制を壁に、個人を卵に例えて「高い壁に挟まれ、壁にぶつかって壊れる卵」を思い浮かべた時、「どんなに壁が正しく、どんなに卵が間違っていても、私は卵の側に立つ」と強調した。
また「壁は私たちを守ってくれると思われるが、私たちを殺し、また他人を冷淡に効率よく殺す理由にもなる」と述べた。
イスラエルが進めるパレスチナとの分離壁の建設を意識した発言とみられる。
エルサレム賞は63年に始まり、「社会における個人の自由」に貢献した文学者に隔年で贈られる。
受賞者には英国の哲学者バートランド・ラッセル、アルゼンチンの作家ホルヘ・ルイス・ボルヘス、チェコの作家ミラン・クンデラ氏ら著名な名前が並ぶ。
欧米言語以外の作家の受賞は初めて。
ただ中東紛争のただ中にある国の文学賞だけに、政治的論争と無縁ではない。01年には記念講演でスーザン・ソンタグ氏が、03年の受賞者アーサー・ミラー氏は授賞式に出席する代わりにビデオスピーチで、それぞれイスラエルのパレスチナ政策を批判した。(asahi.com)から抜粋
| 固定リンク
コメント