芥川賞は津村記久子、直木賞は天童荒太&山本兼一
第140回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が15日夜、築地の新喜楽で開かれ、芥川賞に津村記久子30の「ポトスライムの舟」(群像11月号)、直木賞に天童荒太48の「悼む人」(文芸春秋)と山本兼一52の「利休にたずねよ」(PHP研究所)の2作が決まった。(敬称略)
津村は大谷大学文学部国際文化学科卒業。05年にデビュー。昨年末、野間文芸新人賞を受賞。芥川賞は連続して3回目の候補で栄冠を射止めた。
受賞作は、契約社員として働く工場の低賃金を補うため仕事を掛けもちする30歳前の独身女性が主人公。
芥川賞選考委員の宮本輝は、「つつましやかに生活している女性たちの日々がてらいのない文章で描かれている」と評価した。
山本は同志社大学文学部美学芸術学専攻卒。出版社勤務などを経て04年、「火天の城」で松本清張賞。
受賞作は、千利休がなぜ茶道を大成し、秀吉に弁明せず死を受け入れたか、秘められた恋に触れつつ描いた歴史小説。
3回目の候補で直木賞を手にした山本は、「1回目が一番ドキドキして、2回目は正直がっかり。思い入れの深いこの作品で取れて、よくぞ、という思い」と満面の笑みを浮かべた。
天童は明治大学文学部出身。96年、「家族狩り」で山本周五郎賞。00年「永遠の仔」で日本推理作家協会賞。
受賞作では、人の死に軽重を付ける現代社会に一石を投じた。
直木賞選考委員の井上ひさしは、「天童作品は、人間にとって一番大事な生と死と愛の三つに取り組み力作感がある。山本作品は、日本の文化を根底からデザインした利休の秘密を、上から下から照明を当て、えぐりだした」と評価した。(YOMIURI ONLINE)
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