加藤周一さん死去 羊の歌 日本文学史序説
戦後を代表する知識人で、芸術から時事問題までリベラルな立場から幅広く発言してきた評論家で作家の加藤周一さんが5日午後2時、都内の病院で死去した。享年89。
旧制一高時代、後に小説家となる故中村真一郎、故福永武彦らと知り合う。47年、共著のエッセー集「1946 文学的考察」で文壇に登場。
長編「ある晴れた日に」などで小説家としても名をなした。55年、評論「日本文化の雑種性」を発表。論壇で注目された。
文学研究では、思想書から大衆文学にまで目配りした日本文学史序説で80年に大佛次郎賞。日本文学史序説は英、仏、伊語などに訳された。ほかに「羊の歌」「二〇世紀の自画像」など。
海外の大学のほか、上智大、立命館大で国文学などを教え、東京都立中央図書館長も務めた。晩年は九条の会呼びかけ人として、憲法改正反対を訴えた。
00年に仏政府からレジオン・ドヌール勲章。渋沢クローデル賞現代フランス・エッセー賞の選考委員も務めた。
★「加藤さんは10歳代前半から既に日本の軍国主義に疑いを持っていた。その思いは今日まで持続し、戦争を起こす人間の存在そのものを原理的に考え、言論活動を通じて戦争のもたらす悲惨さを訴えた。彼の知的背景には思想、哲学、文学、美術など人類が築き上げてきた芸術への深い理解と愛があったと思う。加藤さんのような人を真の意味での知識人と呼びたいし世界でもまれな存在だった」哲学者鶴見俊輔さんの話
加藤周一氏講演会(1/7)老人と学生の未来-戦争か平和か-
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