ソマリアで海賊頻発、安保理が反人道勢力へ制裁決議
アフリカ東部ソマリアの周辺海域で、貨物船やタンカーが銃撃されたり、乗っ取られたりするなどの海賊被害が続発。国連安全理は2度にわたり、加盟国に対し武力行使を含む必要な措置を取るよう要請する決議をした。
国連によると、ソマリア沖では今年に入って前年の2倍近い約70件の海賊事件が起きた。日本船籍の被害もすでに4件発生している。
海賊はロケット砲などで武装し、高速艇で襲撃する例が多い。身代金の支払額は推計で総額2500万㌦(約24億円)に上る。
ソマリア沖は、中東諸国からの原油輸送を中心とする海運の大動脈だ。年間2万隻もが通航している。日本にとっても、同海域の海上交通路/シーレーンの安全確保は大事なことだ。
国連決議に基づき米国やNATOなどがソマリア沖に艦船を派遣。こうした中で麻生首相は海上自衛隊の艦船派遣を念頭に、次期通常国会に特別措置法案を提出するよう政府・自民党に検討を指示した。
対テロ戦争におけるインド洋での給油活動とともに、新たな国際貢献策と位置づけたいようだが、いきなり自衛艦の派遣というのは議論が先走っていないか。慎重に検討すべき課題は多い。
外国艦船との共同行動もありうるとしているが、集団的自衛権の行使につながる恐れはないのか。銃撃を受けた場合、どこまで武器使用を認めるのか。憲法との整合性を含め、国会で時間をかけて論議すべきことだ。
海賊事件の根底にあるのは、ソマリアが直面する悲惨な現状。ソマリアが内戦状態に陥ったのは、1991年に独裁政権が崩壊してからだ。92年には米国を中心とする多国籍軍が常駐して平和維持活動を開始した。
だが、武装勢力との戦闘が激化する中、多国籍軍にも死傷者が相次ぎ、95年には全部隊が撤退。現在はエチオピアから軍事支援を受けた暫定政権が支配しているが、今も内戦が続き、国民は貧困と飢えに苦しんでいる。
海賊事件が後を絶たないのは、身代金が貴重な外貨獲得源になっているという驚くような現実がある。強奪した資金が武装勢力に還流し、紛争を拡大させる。こんな悪循環は何としても断ち切りたい。
ソマリアの過酷な状況に目を凝らし、和平構築に力を尽くす。日本が検討すべきなのはこうした地道な貢献策ではないか。
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