伊藤ハム、工場地下水から基準超えるシアン化合物
ハム・ソーセージ大手の伊藤ハムは25日、東京工場(千葉県柏市)で使っている地下水から基準値を超すシアン化合物が検出されたと発表した。
伊藤ハム東京工場で製造したウインナーとピザ13品目計194万個を自主回収する。
伊藤ハムは、「商品に混入している可能性があるが、食べても人体に影響はないと思われる」としている。
健康被害の報告は今のところないという。
自主回収の対象は、9月18日~10月15日に製造された267万個のうち、賞味期限が切れていない194万個。
東京工場では稼働を始めた約40年前から地下水をくみ上げ、製造過程で使っている。すでに消費されたものもあると見られるが、数量は不明という。
伊藤ハムによると、9月18日の定期検査で、地下水をくみ上げる三つの井戸のうち一つから、水道法の基準値(1㍑あたり0.01㎎)を上回るシアン化合物を検出。
10月15日に結果が出た再検査でも異常値を示し、いずれも基準値を2~3倍上回った。さらに、別の一つの井戸も基準値を上回り、10月中旬、二つの井戸水の製造過程での使用を中止した。原因は不明という。
会見した生産事業本部長の山田信一専務によると、検査結果が東京工場長に報告されたのは10月15日。
地元の保健所へ23日に相談に行ったところ、基準値を超えたことを重視し、すぐに公表するよう指示されたという。
公表が遅れたことについて、山田専務は、「甘い判断で、不適切な対応だった」と謝罪した。現在、自主回収の対象となるウインナー2品目について、シアン化合物が残留しているかどうか検査している。
◆回収対象商品
ウインナー ①あらびきグルメウインナー ②ちゃんと朝食を食べようあらびきウインナー ③グルメ家族あらびきポーク&チキンウインナー ④シルクまろやかポークウインナー ⑤チーズインカマンベール ⑥マジ旨あらびき(225g) ⑦同(117g) ⑧ムースボール(108g) ⑨同(54g)
ピザ ⑩ラ・ピッツァマルゲリータ ⑪ラ・ピッツァチーズ ⑫ラ・ピッツァアルトバイエルン ⑬ラ・ピッツァダブルベーコン。
東京工場の製品は沖縄以外の46都道府県で販売されており、地域によって品目は異なるという。
回収対象は、ウインナーが賞味期限の後ろの記号が「T」(①、⑤~⑨)、「製造者東京工場」(②~④)となっており、賞味期限が今年11月14日以前の商品。ピザはパッケージ裏面の記号が「T」で、賞味期限が今年10月28日(⑬のみ11月6日)以前のもの。
◆問い合わせ 午前9時~午後5時、フリーダイヤル 0120・01・1186
■シアン化合物 非常に強い毒物で、金属の精錬や焼き入れ、めっき製造時などに使われる。一定量を摂取すると急性中毒症状による頭痛やめまい、嘔吐などの症状を引き起こし、高濃度であれば死に至ることもある。
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