東洲斎写楽の肉筆画を発見 ギリシャの美術館
独特の役者絵で知られる江戸時代の浮世絵師、東洲斎写楽が扇面に忠臣蔵の一場面を描いた肉筆画が、ギリシャ・コルフ島のアジア美術博物館に所蔵されていたことが明らかになった。
学習院大学の小林忠教授らによる国際学術調査団が鑑定し、真筆と判定した。東洲斎写楽の肉筆画は極めて珍しく、貴重な新発見といえる。
扇面画には、歌舞伎の代表作仮名手本忠臣蔵を題材に、四代目松本幸四郎が演じる加古川本蔵と松本米三郎が演じる小浪こなみが描かれている。
調査団に参加した美術史家・辻惟雄のぶお氏によると「知られている肉筆画と比べたところ、落款や役者の表情のとらえ方が極めて似ていた」という。内藤正人慶大准教授は「写楽の正体に迫る重要な資料」としている。
写楽は、活躍した時期が極めて短く、経歴なども不明の画家。贋作も多いが、この作品は、2人の役者が忠臣蔵を上演した時期と一致し、これまで描かれていない場面であることも真筆と判断する根拠になったという。
コルフ島のアジア美術博物館は、ギリシャの外交官だったマノス氏らが集めた日本や中国などの美術品を収蔵・展示している。7月に調査団が訪れていた。
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