最古の貨幣・富本銭に新種 藤原京跡
日本最初の貨幣富本銭ふほんせんで、従来のものに比べて字体や厚みなどが異なるタイプが、藤原宮跡で出土した地鎮具のつぼの中から見つかった。奈良文化財研究所が17日、発表した。
専門家は複数の工房が存在していた可能性などを指摘、不明な点が多い富本銭の実態に迫る発見としている。地鎮具は、天皇が執務した大極殿院南門近くの回廊跡で昨年10月に発見された。
X線コンピューター断層撮影/CT装置で透視したところ、中に富本銭と水晶が九つずつあり、調べていた。
取り出した富本銭(直径2.44cm、厚さ2.7mm)は、飛鳥池遺跡などで見つかっていたものと異なっていた。
富の字は飛鳥池では丁寧な隷書れいしょ風で、うかんむりだが、藤原宮跡では略式の行書風のわかんむり。
「口」と「田」の左端が1本の線でつながっていた。
中央の四角い穴のふちの線が太く、銅銭自体もやや厚くて飛鳥池のものの約1.5倍の6.7gあった。
成分分析の結果、富本銭の特徴とされるアンチモンの含有量が極めて少ないものが9枚のうち4枚あった。
一方、水晶9個(長さ2~4cm)は風化もなく、つぼに入れられた1300年前の光沢がよく残った状態だった。
富本銭と水晶は、18日~4月18日に橿原市の同研究所藤原宮跡資料室(土、日曜休館、29日は開館)で展示される。
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