やけ酒の憂さ晴らし効果は、飲兵衛の錯覚だった!
イヤな体験を思い出した直後にアルコールを取ると、嫌な記憶を忘れにくくなる――。松木則夫東大教授(薬品作用学)らのネズミの実験で意外な結果が出た。米専門誌で報告した。
何かを体験するときに酒を飲んでいると記憶が残りにくいことはよく知られており、動物実験でも確かめられている。
松木則夫教授らは、体験を思い出し再記憶する際にもアルコールは同様に邪魔すると予想したが、結果は逆だった。
ネズミをふだんとは違う箱に移し、電気ショックを与える。
翌日その箱に入れるとショックを思い出し、ショックなしでもすくんで動かなくなる。
その直後に一方のネズミには体重1㎏当たり1.5gと、人間なら泥酔状態になる量のアルコールを、もう一方のネズミには食塩水を注射する。
3日目に箱に入れると、予想に反し、アルコールを注射したネズミの方がより長い時間すくんだ。
2週間後でも同様の結果だった。
人間でも当てはまるならば、嫌な出来事を思い出しながら深酒すると、酔いが覚めてもむしろ嫌な記憶が強くなることになる。
共同研究者で東京大大学院生の野村洋さんは、「記憶を思い出したときに、無関係な情報が入ってくると記憶の『再固定』が邪魔される。アルコールは余計な情報が入るのを抑えるのではないか」とみている。
楽しい経験や試験勉強の再記憶などいいことでも、アルコールに同様の効果があれば役に立つかも知れないが、残念ながらネズミではうまい実験法がなく、確かめられていないという。【朝日新聞】
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