冷泉家 私家集資経本の斎宮女御集1帖を発見
歌人藤原定家の流れをくむ冷泉家に伝わり、39帖が国の重要文化財に指定されている鎌倉時代の歌集写本群「私家集資経本/すけつねぼん」で、唯一行方不明だった「斎宮女御集/さいくうにょうごしゅう」1帖が、三重県立斎宮歴史博物館の調査で見つかった。
同館は開館20年記念の目玉として購入し、4月以降の公開を計画中。
冷泉家の私家集は、小野小町ら有名歌人の個人歌集の写本群。鎌倉時代の年記と藤原資経の署名があるが、斎宮女御集はこの資経本を写したとみられる江戸時代の写本しか残っていなかった。
見つかった写本は縦23cm、横15cm。表紙を含めて40㌻。鎌倉時代の永仁2(1294)年の奥書がある。昨年6月、同博物館が東京の古美術商から連絡を受け、専門家と共同で調査していた。
同博物館によると、字の配置が江戸時代の写本と一致し、独特の奥書も藤原資経のほかの写本と同じ特徴があったという。
現存する斎宮女御集は伝わった系統によって収録する歌の数が違うが、今回の発見は歌集の成立過程を考える上でも重要な資料という。
斎宮女御は三十六歌仙の1人で、村上天皇の妃、徽子/よしこ女王(929~985)のこと。
源氏物語に登場する六条御息所と娘の秋好中宮のモデルとされる。
「鎌倉時代の歌集の実物が1冊丸ごと出てくるのは稀有なこと。源氏物語千年紀の年に見つかったのも何かの因縁を感じる」同博物館。
購入にあたっては、京セラミタ(大阪市)が1575万円を寄付する。
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