河合隼雄元文化庁長官、脳梗塞で死去
元文化庁長官で、臨床心理学者の河合隼雄さんが19日午後2時2分、脳梗塞で亡くなった。享年79。1928年、兵庫県生まれ。
京都大理学部数学科卒業後、米国留学を経て、62~65年にスイスのユング研究所に留学し、日本人で初めてユング派分析家の資格を取得した。
河合隼雄さんは帰国後、ユング心理学を基礎にした心理療法の箱庭療法を完成・普及させ、ユング派心理療法を紹介した。
75年に京都大教授となり、95~01年に国際日本文化研究センター所長を務め、00年、文化功労者に選ばれた。
日本の神話や現代社会を題材とした研究で注目を集めた。82年に「昔話と日本人の心」で大佛次郎賞、88年に「明恵夢を生きる」で新潮学芸賞。
98年には心理学での画期的研究と臨床実践、日本文化論での独創的実績が評価され、朝日賞を受賞した。02年1月に文化庁長官に就任。
06年6月、奈良県明日香村の高松塚古墳の国宝壁画の損傷を未公表のまま修復していた問題などで責任をとり、給与の一部を自主返納した。
8月9日には明日香村を訪れ、壁画損傷問題で謝罪し、壁画修理のための石室解体に協力を要請した。
脳梗塞で倒れ、同月17日に手術を受けてから療養を続けていた。兄に元日本モンキーセンター所長を務めた動物生態学者の河合雅雄さんがいる。
趣味は還暦を前に始めたフルート演奏。ジョーク好きで、「日本ウソツキクラブ会長」を名乗るなど、多彩な人として知られた。
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