ル・コルビュジエの国立西洋美術館、世界文化遺産へ
東京・上野にある国立西洋美術館本館について、フランス政府が世界文化遺産への推薦を検討していることが28日、分かった。
国立西洋美術館本館は近代建築の巨匠、フランス人建築家ル・コルビュジエ(1887~1965年)の設計。早ければ来年2月までに正式推薦される見通しだ。
日本国内の文化遺産を外国政府が推薦するのは初めて。文化庁は
「世界的にも極めて異例だろう。前向きに協力したい」としている。
本館は鉄筋コンクリート造りで地上3階、地下1階。戦後、フランス政府が接収した絵画などを日本に返還する際の受け入れ施設として1959年に完成した。
柱だけで構成する1階のピロティや、人間の体のサイズを基にした「モデュロール」という寸法を取り入れるなど、随所にル・コルビュジエ建築の特色がある。
フランス政府は06年、同国内のル・コルビュジエ作品13件を世界遺産登録の前提となる「暫定リスト」に掲載。
本登録に向け、日本以外にもスイス、ベルギー、インドなど欧州、アジア、南米各国にある作品群も一括して推薦する方針を決めた。
国立西洋美術館は日本で唯一のル・コルビュジエ作品だが、世界遺産登録に必要となる国の重要文化財指定を受けていない。
文化庁は今秋にも指定に向けた手続きに入る方針だが、重文指定はこれまで「築50年以上の建造物が対象」との目安があり、築48年の本館が指定されれば初のケース。
文化庁は「戦後建造物の価値の再評価にもつながる」と力を入れている。
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