劇作家・木下順二氏死去 夕鶴 子午線の祀り
「夕鶴」「子午線の祀(まつ)り」などの作品で知られる劇作家の木下順二氏が10月30日、肺炎のため死去した。92歳。東京都出身。
旧制高校までを熊本で過ごした後、東大英文科でエリザベス朝演劇史、シェークスピアを専攻。大学卒業前後に、最初の作品「風浪」を執筆。
明治維新期の熊本を舞台に歴史と人間との緊張関係を描いた重厚な作風は、ゾルゲ事件で処刑された尾崎秀実を主人公にした「オットーと呼ばれる日本人」や、日本人の戦争責任を問い直した「神と人とのあいだ」などの現代劇、歴史劇に受け継がれ、戦後演劇の1つの典型をつくり出した。
一方、昔話の中に民衆のテーマをとらえた「彦市ばなし」「おんにょろ盛衰記」といった作品で独自の民話劇を確立。
特に「夕鶴」は、故山本安英さんが「つう」役を1000回以上演じた。諸外国に翻訳紹介されたほか、地域や学校の演劇サークルで盛んに取り上げられるなど、国民的演劇として親しまれた。
| 固定リンク
コメント